ハルコ日和別館・ドラマ&CM

昭和生まれのテレビっ子が、ドラマの備忘録を書いたり、お気に入りのCM動画を紹介したりするブログです。

NHKドラマ「2030かなたの家族」感想

一週間後の10月3日(土)放送のドキュメンタリー「家族がなくなる?」との連動企画(見終わってから有働さんの解説で知りました)。このドキュメンタリー番組もなかなか興味深い内容です。

www.nhk.or.jp

<*この記事は 約4分 で読めます。軽くネタバレあり。>

15年後というすぐそこにある未来。その時「家族」はどうなっているのか?ということをごく普通の「バラバラになった家族」の青年・板倉カケル(瑛太)の目を通して考えさせられるドラマでした。

放送直前に「あ、こんなのやるんだ」と気付き、脚本&出演者で、とりあえず見てみるか(つまらなそうだったら読書かなー)……と視聴。……ゴメンナサイ!面白かったです。あらすじから想像していたのとは大分違う感じで。

脚本担当の井上由美子さんのことばを引用

2030年、日本の人口は現在より1000万人減少、65歳以上の高齢者が3割に達し、変革の時代を迎えると言われています。

そんな15年後――私たちは、どこで誰と何をしゃべっているでしょうか?

近未来の物語では、技術革新や医学の進歩、宇宙からの侵略などが題材になることが多いですが、このドラマは技術や科学の進歩より、誰にとっても身近な「家族」の未来を描きたいと思いました。

舞台は2030年ですが、どれだけ劇的に変化するかを描くSFではなく、変わらないものにも光をあてる、今と地続きの物語を体験していただければ幸いです。

タイトル『かなたの家族』のかなたは、現在から見たはるか彼方の未来であり、2030年から見た忘却の彼方の現在でもあります。

私がこのドラマのあらすじを読んで(井上さんの文章を読む前)思ったのは「何で15年後なんて中途半端な未来に設定したんだろう?15年後って”かなた”ってほど先じゃないじゃん」でした。企画を知らなかったからなんですけど^^; そんな状態で見始めたので、しょっぱなからかなり驚きました。

まずは、15年後の東京ってこんなになっちゃうのか??と。ただ好き勝手に想像して書いた話ではなく、NHKの集めた信頼できるデータに基づいて予想される未来の姿を元に描いているという前提があったからです。家族や地域の人々のつながりがさらに弱まること、ニュータウンのゴーストタウン化などは予想できることですが、「75歳以上の老人だけが居住する街」というのはどうなんだろう?それって幸せなのかな??と感じました。お年寄りしかいない街、怖くないですか?

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「家族」のあり方については、ざっくりいうと……血縁関係のある家族は、形は変わっても根源は良くも悪くも変わらない変えようがないものだと思いました。そして、今後は血縁関係のない新しい「家族(のような関係をもつ人々)」が(人数もその形態も)想像以上に増えていくのだろうと考えました。

カケルの妹・エミイ(蓮佛美沙子)が運営していた他に行き場のない人々が共同して暮らす場所(廃墟となった学校・団地)は貧しいながらも一見理想的に見えました。が、やはり破綻。他人(しかも弱者)が集まって暮らすことの難しさと一個人の善意でできることの限界を感じさせられました。これは行政が今から本気で取り組んでいかなければならないことです。

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家庭用ロボットのこともかなり気になったのですが、これは「思ったほど進化してないなー」と思いながら見て、その後、いや、そうでもないぞと考えを改めました。

カケルが開発したけれど全く売れずに自宅に持ってきたロボ・ナルホドは、外見はカメラに手足がついたような安っぽさだったけれども、会話が成り立っていたし(噛み合わないことがない)、話し方もいわゆるロボット的なそれではなく普通の人間の話し方(声:小日向文世)なのだから、すごい進化なのでしょう。時々あまりに直球(毒舌)で答えてくれるので売れなかったんだろうなぁ^^;

ちょっと改良すれば一人暮らしでロボと一緒に生活(=ロボが唯一の家族)♪が増えそうな気も……色々と問題ありそうですが。だから、あえて人に近い形にしないのかもしれません。

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カケルの家族はバラバラに暮らしてはいるけれど心の距離は元通りとはいかないまでも近くなり、カケルと彼に子作りに協力を願い出ていた美冴(相武紗季)は「普通に交際をしてお互いを本当に好きになったら結婚しよう」ということに。人と人との「根源的で”変わってほしくない”と皆心の底では思っているような関係」はそんなに簡単には変わらないんだよなぁと思える、ホッとする終わり方で良かったです。

<2015.9.28追記>

2030年のライフスタイルが非常に興味深かったです。また、それぞれに板倉家の誰かが関わっていることで理解がしやすくなっていて、限られた時間で幅広い層に社会問題を伝えるドラマとしての構成の上手さに感心しました。

東京

・グローバル企業が集まり、そこへ勤務するエリート富裕層が暮らす高層マンションが立ち並ぶ都心部(エミイが勤務していた)

・徹底したリスク管理のもとで高齢者たちが資産に応じて快適に暮らす”シティ”(カケルの母の職場であり、祖父母が暮らしている)

・今はゴーストタウンと化した「かつてのニュータウン」(かつての板倉家にカケルの父だけが残り、管理事務所を守り続けていた)

・社会の底辺で生きる人々の集まる共同体(エミイが会社を辞めた後に作り上げた)

・若い世代が程よい距離感で経済的に暮らせるシェアハウス(カケルが住んでいる・美冴はシェアメイトだった)

地方

・子育ての楽園「ママエデン」(美冴が移り住んだ)

 

15年後、現実になっているものはどれぐらいあるでしょうか?私は「かつてのニュータウン」が最も現実的に感じられ、カケルの父(松重豊)の姿が切なくてたまりませんでした。